いよいよ梅雨も本番。あと一か月も続くのか…。
真夏の日差しが待ち遠しい方も多いことと思います。
実は私、一年中スタジオの中で過ごしている「穴倉族」ですから眩しい日差しが苦手です。
(以前にも書きましたw)
そんな「穴倉族」は最近約10kmのランニングにチャレンジ!
もう彼是4か月続いています。やはり体力つけなきゃって頑張っています。
さて、今日は私の大切な椅子のお話です。
私が毎日ピアノに向き合う時に座っている椅子、そしてコンサートでもこの椅子を使ってる理由は。昔なじみの古い古い年老いたトムソン椅子とても大切な椅子。当時の大勢の生徒達がピアノを習った想いのこもった椅子。
この椅子に初めて座ったのは37年前、恩師M先生の教室でピアノを習い始めた時でした。当時M先生は音大を卒業し、自分の教室を始めたばかりの新米先生。新しいアップライトピアノにピカピカのトムソン椅子が。私は勿論一緒に習っていた他の生徒も、皆わくわくしながらその椅子に座ってピアノを習っていました。そんなM先生、あっという間に生徒も増え、多い時には50人以上が通っていました。
2、3年もすると、教室にはグランドピアノ設置、連弾をする時などは新旧の椅子を並べ楽しく演奏していました。
成長した私はM先生の教室を卒業。音大へ進学。それから何年経ったでしょうか、群馬県に嫁いだこともあり、M先生の教室へ行くことは無くなりました。
そんな私とトムソン椅子との運命的な再会は10年前の事。以前ブログに書いたM先生の教室でのミニコンサートの時でした。
このコンサートの休憩中、主人が教室の片隅に置いてあった椅子を見て、「この椅子、何かを感じる」「何だか凄いオーラ」「椅子に呼ばれてるような、座ってピアノを弾きたくなるような…」年老いた椅子、ただの椅子ではない事に気づきました。
それは何百人もの生徒達がその椅子に座り「一生懸命」に練習に没頭した椅子。また泣いたり笑ったり、苦楽も共にしてきた椅子。その生徒達またM先生の汗と涙がしみ込んだ椅子。当然、皆の魂が宿っている。ボロボロで擦れて木肌が出ていて、上げ下げの調節も壊れていてできない年老いた椅子。だが、何だか風格が漂っていた。主人にはそれがすぐ解ったようです。
その日のコンサートを終えて、帰宅してもその椅子のオーラに私も主人も魅せられた心は続きました。翌日、早々にM先生に「あの椅子を私に頂けないでしょうか」思い切ってお話してみました。M先生は最初、「色々な思い出が詰まってる椅子だから…」と断られました。そうなんだ、やはりボロボロでも壊れていても大切な思い出の椅子なんだ。と、諦めかけていました。
すると数日が経ちM先生から電話が…「なっちゃんは小さな頃から一番頑張ってたし、これからも活躍、精進して欲しいから、大切な椅子だけど、使って欲しい」と心温まる言葉で大切な椅子を頂けることになりました。
そして椅子は静岡から送られてきました。大切に梱包された椅子を受け取ると、椅子の裏側にはM先生からのメッセージが書かれていました。何だか涙がこぼれてきました。皆の想いをこの椅子にいつも感じながらピアノに向かっています。それは、壁にぶつかったスランプの時でも、大切なコンサートの時でも、いつもいつも励ましてくれています。
そんな古い古い年老いたトムソン椅子のお話でした。
ちなみに私のコンサートをご覧になる機会がありましたら、そんなエピソードのある椅子も見てください。またYouTubeでの私のコンサートの模様でもご覧頂くこと
ができます。